ケンブリッジにて

イギリス北上記 (2022年8月)

ネットワーキングを目的とした6泊7日の電車旅. ロンドン, オックスフォード, ケンブリッジ, ニューカッスル, エディンバラと徐々に北に移動し, 飛行機でパリに帰還するコースを辿った. 避暑と観光を兼ねていることは否定しない. 「UKはヨーロッパじゃない」とIJCAI-22で会ったドイツ人が言っていた. たしかに通貨は違うし, パリから経度もたいして変わらないのに中央ヨーロッパ時間を採用していない. 他の国と違って交通アナウンスは英語しか流れない. まあ, 日本人からしたら大して変わらない気もするが, 育ったところが違ったら違う感想をもつのだろう. 今回は5つの街を見て回ったが, 一国の中と言えど雰囲気がダイナミックに異なっていて面白かった. ロンドンは東京に似た大都会だし, オックスフォードは大学の中に街があり, ケンブリッジは街の中に大学がある. ニューカッスルの無骨な風景は独特であり, エディンバラは北国の入口としての貫禄がある. 写真で何となく伝わると嬉しいな. London Oxford Cambridge Newcastle Edinburgh ネットワーキングの目的は十分に果たせたと思う. 共同研究の種をたくさん撒けたはず. IJCAI-22でできた友人たちがホストしてくれたのもとても嬉しい. 例えば, Oxford Robotics Institute (ORI) からは関連分野に論文がたくさん投下されるのだが, 双方に「お前の論文知ってるぞ」状態の人と研究トークしたり. ORIの中はイケイケだった. 規模は決して巨大ではなく, 建物一つにスッポリ収まっている. ニューカッスル大ではセミナートーク(30min)を企画してもらい, その後二人に街を案内してもらった. 指導教員の方とはスケジュールが合わなかったのだが, 興味があるとのことでプレゼンの録画を送った. 研究紹介もたくさんしてもらったのだけど, どれも面白かったな. また, この旅の一番の目的はケンブリッジ大のComputer Laboratoryを訪問することであった. 研究関心がかなり近いラボがあり, セミナートーク(1h)に加えて密なディスカッションを楽しんだ. APが「次来るときは長くいることになるかもね」と言っていたが未来のことは分からない. とまあ, 研究的にも観光面でも充実した旅であった. イギリスのご飯?訊いちゃあいけないよ. フィッシュ・アンド・チップスでも食べておけば良いのさ.

August 22, 2022 · Keisuke Okumura

IJCAI-22@オーストリア・ウィーンの備忘録

メイントラックで発表してきました!!人工知能の国際会議です. 写真は会場. 総じてとても楽しみました. 参加して本当に良かったです. 以下つらつらと感想とか. たぶん他の人が読めた文章ではない. 博士課程に入ってから初のオンサイトの国際会議である. IJCAI は実は2度目で, 最初は2019年マカオで開催されたもの. 修士2年のときのことである. 筆まめなので備忘録も書いている. [IJCAI-19@マカオで発表してきました] このとき, 帰りの飛行機から見えた雲の景色が妙に綺麗で感動して, 手広く人工知能の分野でやっていこうと決心したことをよく覚えている. それ以降, コロナをはさんだり, めちゃくちゃな数のリジェクトを食らったりしたが, また IJCAI に来ることになったんだ, なかなかに感慨深い. 採択率は相変わらずエグいことになっており, 今回は 679/4785=14.2% . 日本からのものに限定すると 10/81=12.3%. 国別で見ると採択数 11 位だそうで. submission 数は頭打ちになっているらしく, ここ数年ではさほど増えていない. 難しい会議であるには違いないんだが, 最近はちょっと違った感想をもっていて, アクセプトまでに時間がかかる会議の一つである. こういう捉え方ができるようになったのも, また少し感慨深い. 参加するまで気づかなかったのだが, トピックが人工知能全分野を扱うとはいえ, プランニングやらマルチエージェントやらの人たちそこそこの割合を占めるので, IJCAI は実質的なホームである. これまで「どこかに属している感」みたいなものを感じたことはなかったのだが, コロナで関係性が希薄だったとはいえ, このコミュニティで育ったのかなぁと思うことが度々あった. これも感慨深い. 実際, プランニングな人たちと度々ご飯したり駄弁ったりした. ICAPS-22 で best student paper award をとってるから, それも都合がよかった. AIJ の editor-in-chief にも挨拶できたし, 向こうも名前を覚えていてくれた. ちなみに, 来年PhD取るんだよねと言うとポスドクの話が出てくる. コネクションも方面にできて, 帰国までにブリュッセル, オックスフォード, ニューキャッスルにお邪魔することになりそうである. こうやって気軽に約束できてしまうのはパリにいるメリットの一つで, この時期にウィーンで IJCAI があって本当によかった....

July 30, 2022 · Keisuke Okumura

バルセロナ散策記 (2022年6月)

週末にかけて夜出発・朝帰宅, 三泊四日の弾丸旅行. アクセスはパリから飛行機で2時間ほど. とても近い. スペイン語もカタルーニャ語も微塵も分からない. が, それはフランス語も同じである. それでは彩り豊かなバルセロナをどうぞ. サグラダ・ファミリア グエル公園 カサ・ミラ カサ・ビセンス カサ・バトリョ カタルーニャ音楽堂 ピカソ美術館 サンタ・マリア・ダル・マル教会 王の広場 グエル邸 コロンブスの塔 モンジュイックの丘 サン・パウ病院 カタルーニャ広場 街歩き 食べ物 とても歩いた. 歴史ある街であり, そこにガウディの作品が華やかさを添えている. なかでもカサ・バトリョとグエル邸の体験は素晴らしかった. 有名所の入場料金は高い. ユースホステルに宿泊. スイス人とオーストラリア人と雑談. きっと君たちは私より若いんだろうね. パリより絶対暮らしやすそう. 飯が安くてうまい. 何より部屋にエアコンがついている. それでもパリは好きなんだが. 研究の息抜きとして効果的だった. 留学後半戦頑張りましょう.

June 17, 2022 · Keisuke Okumura

パリ放浪記 (2022年4月-)

こちらに来てから1ヶ月が経ちました. ちゃんとした備忘録は帰国後に書きますが, まずは豪華なパリをどうぞ! (写真は随時追加していきます) エトワール凱旋門 コンコルド広場 エッフェル塔 サント・シャペル ノートルダム大聖堂 ヴェルサイユ宮殿 ルーブル美術館 サクレ・クール寺院 リュクサンブール公園 パリ国際大学都市 オルセー美術館 ガルニエ宮 オランジュリー美術館 カタコンブ・ド・パリ ロダン美術館 ダリ美術館 ビュット・ショーモン公園 シャンティイ城 フォンテーヌブロー宮殿 セーヌ川 大道芸 街歩き 食べ物 食べ物はめっちゃ高い. バケットは美味い. 晴れのパリは眩しい. サングラスがほしい. 『サモトラケのニケ』(ルーブル美術館)にひどく感動してしまって, 正直, 彫像をここまで気に入ると思わなかった. 人生で出会ったものの中で一番美しい類のもので, これが上界のような気もしてる. 『睡蓮』(クロード・モネ, オランジュリー美術館)も素晴らしかった. ここまで日本人がいないパリを堪能することができるのは人生でもうないでしょう. こいつ研究しているのか…?

April 30, 2022 · Keisuke Okumura

Looking for next position after getting my Ph.D. (expected: Mar. 2023)

This article is outdated but I keep it as a reference. Thank you for your cooperation. I am now looking for the next position after getting my Ph.D. from Tokyo Institute of Technology, Japan (expected: Mar. 2023). [Japanese version] I want to get a research job including postdocs, but not limited to. At this stage, I am broadly considering both academia and industry. So far, I have devoted studying how to control multiple moving agents for almost five years....

March 1, 2022 · Keisuke Okumura

博士号取得後(2023年3月見込み)のポジションを探しています

ご協力いただきありがとうございました. 今後の参考用に残しておきます. 現在, 東京工業大学・情報理工学院の博士課程に在籍しており, 表題の通り, 博士号取得(2023年3月見込み)後のポジションを探しています. [English version] 研究ポジションがベスト (ポスドク含む) ですが, 現段階では アカデミア・インダストリに関係なく幅広く検討 しています. 大規模な移動エージェント群の制御 を対象として5年ほど研究に従事しており, 多くの領域・分野と親和性があると考えています. 興味をもっていただいた方は気軽に連絡いただけると幸いです. 紹介等も大歓迎です. 連絡先 okumura.k [at] coord.c.titech.ac.jp / LinkedIn / Twitter *本記事の目的はキャリアの可能性を広げるためです. 以下, ポートフォリオと重複していない内容を重点的に書きます. Table of Contents: 何をしてきたか / 何ができそうか 何をやりたいか 経歴 スキル 希望条件 その他 何をしてきたか / 何ができそうか 大規模な移動エージェント群を制御することに興味があり, プランニング, 探索, オートメーション, 離散最適化, ロボティクス, マルチエージェントシステム, 分散コンピューティングなどの知見を取り入れて研究を進めています. 主著論文は IJCAI-19, AAAI-21, ICRA-21, IROS-21, AAMAS-22, ICAPS-22 といった AI & Robotics の領域で著名な(かつ難関)国際会議に採択されています. 光栄なことに, これまで 色々と受賞 させていただき, また招待講演に招かれることもありました. 研究の具体的な内容としては次の3つに分類できます....

March 1, 2022 · Keisuke Okumura
オンライン発表@AAAI-21

博士課程2年の備忘録 (2021.2-2022.1)

誕生日を区切りとして, 研究生活を中心に一年を振り返るシリーズ. 後から見ると苦々しく若々しくて, とても刺されるものであってほしい. 若い文章は若いときにしか書けないのだから. 過去編: 博士課程1年の備忘録 (2020.2-2021.1) 修士2年の備忘録, 23歳だったとき 修士1年の備忘録, 22歳だったとき 2月 AAAI-21に参戦. 時間非依存な"オンライン"経路計画を発表. 日本からは27本らしい. 毎年このレベル通したいね. ポスター発表は基本どこも過疎っていて, オンサイトの学会が恋しい. MAPFの逐次改善の話を完成させてIROS-21+RA-Lサブミット. 新規でオフライン時間非依存経路計画(OTIMAPP)の研究を進める. AAAI-21のスライド作成時に思いついた内容で, 代表作レベルになりそう. JSAIに無理やり出す. 東工大・情報系若手教員のオンライン飲み会に混ぜてもらう. 自分より少し上の世代の話を聞ける機会は貴重でとても良き. T先生は潰れていた. カウンターデスクやドライフラワーを作ったりもしたが, この時期は無限に研究していて, 完全にワーカホリックだった. コロナ生活に慣れてきたんだと思う. この月は人に会わなかった. 3月 AFADAがICRA-21アクセプト, 非常にめでたい. イントロ強力にしたのが効いた. OTIMAPPの研究にF先生が参戦, 理論解析を手伝ってもらう. 学ぶことが多い. 解きたい問題がNP困難であることが示されてしまった. シン・エヴァ回収, 誰かの執念に触れることはとても良い. そろそろ環境を変えるべきと思ってインターンと海外留学を考え始める. ドローンを購入して自宅で飛ばす. 障子破りそうなので即禁止になる. SIG-FPAIで人生二度目の招待講演. どうせなら日本における立場を固めようとMAPFのチュートリアルを混ぜる. 時間配分ミスったが, このとき作成した資料は各社に参照されているらしい. ワイン会を開催してはよく潰れていた. 4月 渡仏計画を立てて, 日本学術振興会・若手海外挑戦プログラムに応募する. AFADAをベースに書いた. 申請書類が2ページで比較的楽に終える. toioを10匹買う. 小気味よく動くので使いやすい. 自作キーボードの無線化を試すが遅延が気になり結局クビ. OTIMAPP論文を早速書き始める. 問題提起, 理論から実機デモまで全てこなす大作で, 研究者としてワンステップ上がった実感がある. 今後もこのレベルの研究を続けていきたい. IROS-21の査読をしていたら他査読者がクソで反面教師化. 東大・塚田研との自動運転に関しての共著論文がVTC-21 Fallにサブミットされる. Fixstars Amplifyハッカソンに参戦, unlabeled-MAPFっぽい内容を出して優秀賞を貰う. 一位は取れなかったがハッカソンはやはり楽しい. 賞金で自宅の音響設備を整える....

January 30, 2022 · Keisuke Okumura
インターン成果をICRA-23のワークショップで発表する様子.
論文が採択されたAAMAS-22はオンライン開催だった.

OMRON SINIC X (OSX) インターン記

最初にお断り. 綺麗で力ある文章を書く労力は論文に捧げてしまったので散逸的な内容になります. 悪しからず. 2021年4月26日から10月15日までの約半年間, オムロンサイニックエックス (OSX) という企業研究所 (AI & Robotics) でフルタイム・リモートのリサーチインターンをしていました. メンターは 米谷さん. 取り組んでいたのはデータ駆動型のマルチエージェントプランニング. ユニークなテーマで特許も出願済みです. 論文も書いたんですが, まだ未公開. では本文. 掲載にあたり事前に許可は得ています. リモートだからほぼ写真がないのが寂しいね. 記事の目的 / 誰向け? 基本的には他の人が読めるレベルの 内省 です. 全く繋がりがなかった人たちと研究プロジェクトを一回りさせるフローが書かれています. 長期のリサーチインターン考えている人には多少は参考になるかもしれない. OSX インターンは随時募集しているみたいなので, 少しでも興味ある人とか. あなたは誰 東京工業大学 情報理工学院の博士課程 (2020-) の学生です. 研究対象は「大規模な移動エージェント群を制御すること」. 詳しくは ホームページ 見て. ツヨツヨじゃないけど頑張ってる人だと言えば雰囲気伝わるんじゃないかな. 機械学習 (ML) は PRML くらいは抑えていますが完全に対象外な人でした. MLなにもわからないのでチューニングが必要なAPIくらいの感覚で生きてます @_kei18 (June 10, 2021) 動機 かなり戦略的でした. 要因を羅列すると: OSX の存在はけっこう前から知っていました. 色々と成果を出している機関は否応なく目立つ. Neural A* のプレプリント (2020年9月) で今回面倒を見ていただいた方々を知る. 研究も面白い. きっかけ1. 2020年末の米谷さんの 振返り記事 はかなり刺激になった (twitter で流れてきた). 一世代上の人たちが頑張っていることに触れられるのはめちゃくちゃ良い. きっかけ2....

November 29, 2021 · Keisuke Okumura
河川敷で花火@3月

博士課程1年の備忘録 (2020.2-2021.1)

誕生日を区切りとして, 研究生活を中心に一年を振り返るシリーズ. 未来の自分が当時のフリをして書いてます. 他人が読めたものではないので注意. ただ後から読むと楽しいんだよね. 過去編: 修士2年の備忘録, 23歳だったとき 修士1年の備忘録, 22歳だったとき 2月 修論提出後すぐに発表会があり準備に追われる. 博士課程の審査も兼ねており, 大トリの発表だったけれど総じて好評. 副査の先生がボソッと「博士でもいいレベルですね」的な小言をもらして狙い通りでした. 学部3年生の頃からお世話になっていた三宅先生が審査員に入っていたのも感慨深い. 一旦学業の方が落ち着くと家探し. 目黒駅徒歩圏内一軒家という, 事故物件レベルを掘り当てる. 2年くらいガスが止まっていたらしい. まだ幽霊は見ていない. D先生の誕生日を盛大に祝う. 奥様がスパークリングを全員に買い与える大人行動をとる. とてもとてもいい会. AFADAを何とかIROS-20に出すべくデスマーチ. 一応間に合ったレベルで論文としてのクオリティはダメダメ. 実際D先生に怒られた. COVID-19の足音がチラホラと. 3月 実家を出る. 新居の環境構築に勤しむ. カーテンレールもエアコンもない. とにかく寒い. 風呂が炊けたときは感動した. 残予算を使ってAFADAの増築作業. 中国の業者とやり取りを重ねる. メンヘラ対応されてる気がする. 正式に博士課程合格通知をもらう. 自粛ムードが漂う中, 掛川にひっそり旅行. 目的地はサイコロで決めた. 学部3年生の頃からボチボチ取組んでいた自己身体認知の研究がついにジャーナルaccept. 形になってホント良かった. すずかけと石川台から諸々撤退. IJCAI-20のレビューが帰ってくる. 内容自体は高評価だが10日で全面リバイズしたこともあってreadabilityが弱い. 学位授与式は中止. が, ラボで小規模に集まったり学部時代からの友人と写真を撮ったりはした. 修士(工学)と副専門で物理を修める. 密な2年だったね. 同期たちも卒業. 絶対直接言ってあげないけど, 学生生活で一番幸運だったことは同期2人だよ. 4月 博士課程の始まりである. 引きこもり生活の始まりである. 社会情勢があまりにも不安定である. 大学から完全に撤退. 誰にも会わない日が続く. 講義は5月からに. 研究で初めてインタビュー(オンライン)を受ける. PIBTの改良をボチボチやりつつ, 様子見の意味も込めて勉強にフォーカス. マルチエージェント本を読破したりCoursera漁ったり機械学習したり. ラボの裏輪行としてCLRSことアルゴリズムイントロダクションの読み会を企画. 表輪行はCSにおける実験計画本. IJCAI-20は落とされてしまったが, 査読者が次は通るだろう的なことを言ってくれて一安心. 自炊を頑張る....

January 30, 2021 · Keisuke Okumura

汎用研究ツール群

私的メモ. 普段メインで使っている PC は Mac. 特別な設定をしなくてもあらゆる方面にいい感じに使えるのが大事. 開発系 (tmux とか Docker, etc) は挙げていくときりがないので省略. たぶん随時更新予定. 他にも便利なものあれば教えて下さい. 基本 spacemacs メインエディタ. Visual Studio Code spacemacs の設定いじって壊したとき or Remote SSH したいとき. GitHub いわずもがな. GitLab も悪くなかった. Spark メーラー. Thunderbird 息してる? Slack チャット. Teams は辛い. Dropbox バックアップ, 資料の共有, etc. Evernote とにかく色々突っ込む. 論文もここ. 文献管理は無理ゲーなのでしなくなった. 論文書けばいいだけだよ. Penultimate iPad, 手書き研究ノート. Evernote から検索可. GoodNotes iPad, 論文読む, 添削, 査読するとき. 論文執筆 Overleaf 共同で論文執筆するとき. IEEE の会員なら色々と特典がつく. 便利だけど基本はローカルで書きたい. Skim LaTex 文書のライブプレビュー. Grammarly 文法チェック. the が多くなる....

January 1, 2021 · Keisuke Okumura