オークランドで開催されたエージェント系の国際会議 AAMAS-24 に参加してきたので, つらつら感想を残しておく. 初めて南半球へ訪れたので, ついでにメルボルンとシドニーにも立ち寄って二週間の研究旅を楽しんだ. 土日にクイーンズタウンを堪能したのは内緒の話.

あくまでこれは個人的な備忘録であることに注意されたし. 悲しいかな, たいていのことは書き残して置かなければ忘れてしまうのだ.


博士課程は COVID-19 の影響をモロに受けた世代のため, AAMAS の現地参加は初である. 過去二回オークランドでの現地開催が予定されていたが, どちらもオンラインになってしまった. なので三度目の正直というやつだ.

現地参加がなかったとはいえ, IJCAI や AAAI とコミュニティは共通しており, ホーム感がある場所ではある. 実際, 見知った顔もそこそこいて, ボッチ参加していたとはいえ, ちょくちょく知り合いに出くわした. お陰様でそこまで寂しくはなかった.

本会議の採択率は20%ほど, 今回は230本が採択されたらしい. 決して大きくはなく, 参加者も600人ほどだが, 質の良い論文が集まる良い会議である. 中国・アメリカからの論文がマジョリティなのは他の AI 系の会議と一緒. 私はイギリス枠でカウントされていたかもしれない.

AAMAS といえばマルチエージェントの印象が強いが, 今回一番枠を占めていたのは強化学習で, これには他の人も驚いていた. とはいえ Keynote の一つは強化学習の透明性・説明性の話であったりして, そんなものかもしれない. ちなみに 2022 年のパリ滞在時に VUB AI センター@ブリュッセルにて講演する機会 があったのだが, そのラボのボスである Ann が講演者である. 当時は「AAMAS で会うかもね」と言ってくれたのだが, 本当に会ってしまった. フラグを回収する瞬間はいつだって良いものだ.

こういう類のばったり話だと, IJCAI-22@ウィーンAAAI-23@ワシントンDC でばったり出くわした, エージェント系コミュニティで育った日本語話者同年代の珍しい人がいたのだが, なんと今回も遭遇した. 学位をとってアカデミアを離れると言っていたのが少し寂しい. 会うたびにそれぞれ人生のステージが変わっていて, ケンブリッジに行く前にイギリス話を色々教えてくれたりしたのだが, もうそんなことは今後ない.

(オークランド大学で行われたレセプション)

上の年代の研究者の方々にキャリアを気にしてもらっていて, 「ファカルティに興味あるなら相談に乗る」やら「プランニングでラボ出すのは良いタイミングだと思う」などなど, ありがたい言葉をいただき. 多くの人は博士課程終了後に研究を牽引する活動をやめてしまうので, 下の世代で続けそうな人間には思うことがあるのかもしれない.

(バンケット, 踊りがキレキレだった)

自分の発表はもう手慣れたもので, 会場から笑いをとるのもお茶の子さいさいである. 一つ前の発表が学習ベースのマルチエージェント経路計画をやっていたのだが, その後に KO が意気揚々と state-of-the-art をぶち壊していくものだから, 主著の学生が戦々恐々としていた. 頑張って乗り越えるしかないよ, 私もそうしてきた.

オークランドは港町ということもあり, 急傾斜な坂が多い. 食べ物も値段は張るが美味しい. 街中で日本料理店を多く見たのが印象的である.

AAMAS-24 終了後はフライトでクイーンズタウンに飛んだ. フィヨルドでクルーズ. 長距離バスにて, 隣の女性がアルゼンチンからシドニーに引っ越して一年目のスペイン語の教師で, 私は東京からケンブリッジに引っ越して一年目の研究者で, みたいなことをボソボソゆっくり喋っていた時間が不思議だった.

クイーンズタウンは素敵な町で, また行きたい場所ランキング一位になってしまった. 今回は短すぎた. 一ヶ月くらい滞在したい.

その後はメルボルンに移動.

オーストラリアのエージェント系コミュニティが主催するワークショップ に二日間参加させてもらった. AAMAS 参加者がそこそこいて, PI 的な立場の人たちが濃密なトークを繰り広げて, それは楽しいワークショップであった. KO も “Pathfinding for 10k agents” で講演をしたのだが, 発表中, 会場中がゲラゲラ笑うものだからつられて笑ってしまった, 反省. まあ, それだけ面白いトークができる裏返しでもあり, ここら辺の能力は年々磨かれている. Sven の後に講演をしたのも感慨深かった.

(会場の Melbourne Connect)

モナシュ大学にも訪問して二日間ぎっしりディスカッションをした. 「俺たちの最大の敵がやってきた」と迎えられ, 帰り際に「違う方向に研究を進めるのもいいが, 素晴らしい飛び道具をもってるんだから, それを研ぐのを辞めないで」と言われたりなど. むず痒い.

(モナシュ大学はオープンスペースが多い)

メルボルンのご飯は全体的にボリューミー. 半分でいいよ半分で.

(名物のチキンパルミ)

旅の最終地はシドニー. 研究話をして, ついでに街を案内してもらう. 綺麗な街だと聞いていたが本当で, 変態的な建築物が目立つ.


ロンドンからのフライトは24時間, 行き便ではロストバゲージにあったりして大変だったのだが, 少し無茶のある計画を立てて本当に良かった.

またこういう時間をもつ機会があるといいな.